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読書と映画の備忘録

+オールタイムベストの本


 一生のうちにオールタイムベスト本30冊を選ぶというのをやっていて、ひさしぶりに更新。アラン・ムーア(原作)・エディ・キャンベル(作画)『フロム・ヘル』をいれる。読んでからしばらくたっているし、『ウォッチメン』とどちらにしようか、自分の中でながらく迷っていたのだけれど。ふと、人間が想像力をもってして歴史に、そして人間の心の闇にあらがった、ひとつの到達点としてこの作品があるのではないかと思い、いてもたってもいられなくなって追加した。
 つまり、ムーア先生のあの物語が事実でないことは誰にも証明できない。完璧。そして、物語を読む前から、献辞であんなに心をつかまれたこともなかったし、すべてを物語っているような気さえした。なにより、あの献辞はすごく優しかったから。
 いま、思えば、ヴォネガットは『スローターハウス5』でもいいし(いまだに迷う。けれど、そのうち決まるだろう)、筒井康隆『驚愕の曠野』は、『モナドの領域』を読んだら差し替わるかもしれない。アニー・ディラードはリストをつくった当時も迷ったけれど『アメリカン・チャイルドフッド』ではなく、やっぱり『本を書く』なのではないかと思う。    
 しかし、本一冊単位でなくていいなら、ディラードは『石に話すことを教える』にはいっている「プロビデンチャの鹿」になるだろう。ディラードに出会ったのは日本語ではなく英語からで、母語以外の言語で感動すること、できることを初めて知った。英語で感動した自分にびっくりして、最初自分の中で何がおきているのかわからなかったくらいの体験でもあった。これが大学にはいったころのお話。
 村上春樹「かえるくん、東京を救う」『神の子はみな踊る』(タイトルは、素敵)は、わたしにとってもう必要のない物語になってしまったので、とってしまった。


 そのうち、映画も30本選びたいな。本と漫画はわけて、あらたに漫画を選んでもいいかもしれない。でも、ムーア先生は漫画というか本のほうにいれたくなってしまうのだった。アメコミはグラフィック・ノベルともいうから、いいのかな。

フロム・ヘル 上

フロム・ヘル 上

石に話すことを教える

石に話すことを教える