2009-06-17 恒川光太郎「風の古道」より これは成長の物語ではない。 何も終わりはしないし、変化も、克服もしない。 道は交差し、分岐し続ける。一つを選べば他の風景を見ることは叶わない。 私は永遠の迷子のごとく独り歩いている。 私だけではない。誰もが際限のない迷路のただなかにいるのだ。 (恒川光太郎「風の古道」『夜市』、角川書店、2007)