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読書と映画の備忘録

恒川光太郎「風の古道」より

これは成長の物語ではない。
何も終わりはしないし、変化も、克服もしない。
道は交差し、分岐し続ける。一つを選べば他の風景を見ることは叶わない。
私は永遠の迷子のごとく独り歩いている。
私だけではない。誰もが際限のない迷路のただなかにいるのだ。

恒川光太郎「風の古道」『夜市』、角川書店、2007)