37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

+断 片

+ 言葉にもならない夢の断片を見続けるのだけれど、こちら側に目覚めてからもまだ溶けずに残って居る欠片があるみたいでふわふわ過ごす。アルコールだってこんなふうには効かないものなのに。

+物 語

+ 太陽を背に、端然と立つ人を尋め行きました。青白い氷原でその人は火照りを帯びているようでした。 「熱があるの。少しね」 微笑むその人が氷に刻んだ文をたくさん読みました。小さな熱に溶けた言葉は滴となって黎明の波を奏でます。 「この下にはね。氷…

+金木犀の咲く夜に

+ 金木犀の香りがしてくると、ようやく十月になったのだと思います。真っ先に思い出すのは、住んでいた家の庭にあった、何十本もの金木犀がいっせいに黄金色の花を咲かせてまぶしかったこと。寝室、台所、食堂にバスルームと、家中が、花々の香りで充たされ…