37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

2012-01-01から1年間の記事一覧

+今年最後の、夜に

+ 熱で、すこしふわふわしていた。今日は身体になにも傷がついていないから(つけるのではなく、ついてしまうときがある)、真っ白な寝間着を纏う。気温の下がった部屋、静かな音楽、低く響く洗濯機の唸り声。薔薇とミルラの香りのなかで、もう何度、月の盈…

+今日、世界は

――或る紳士の素敵なご挨拶。そう、世界は終わってもいいものなのですよ。 + 今日、世界は終わるそうですね。では、みなさま、よい週末を。

+かすかに、でもたしかに

+ 12月。空に垂れ込める雲からも澄み切っていく空気からも、かすかに、でもたしかに、雪の気配がする。雪が降ったら、そのときはいっしょに透き通りながら遊びましょう。氷は焔とおなじくらい熱いってこと、まだ知らないのなら教えてあげるから。

+11月の或る夜は、氷の言語でできた詩を

――凍てつく氷の言葉でもって詩を書くひとがいました。ずっとずっとむかし。N.Nというなまえの。+ お仕事の依頼にいって、最後に思わぬ流れで、ある詩人の手書きの原稿のコピーをみせていただくことになって。手書きの文字はやっぱり生々しくて、書いたひと…

+祈りのように

+ 大学生のころから愛読していたmemory/narrativeという本がみつからない しまいこんでしまったの? 祈るように書きたい、と思うときに読みかえす本の一冊。

+夜明けまでは万霊節の夜

――金木犀散らしてしまう黄金の雨はもうすぐかしら。「万聖節に黄金の雨がふる」という作品も忘れられない物語。+ ブラッドベリかたわらに、ジャック・オ・ランタンと、いただきもののケーキですごすハロウィーン・ナイト。ケーキは浅草あたりに本店があるC*…

+わたしは可愛い三月兎っ!

+ わたしは可愛い三月兎、三月兎! 所要あっておでかけした先の、ついでにふらっと入った古書店にて発見。うわぁああん、ずーーーっとさがしていました。うれしい、古本の神さま、ありがとうっ☆ + 探していたけれどみつからなくて。図書館でも、この紫陽社…

+十月の扉が開いた夜

――金木犀の馨りにつつまれるたびにかならず思いだす物語は、内田善美『星の時計のLiddell』 + 十月の扉が開いた。今年、初めて金木犀が咲いているのをみつけたから。これがこの馨りの魔法。熱がさがらないままのくちびるにそっとのせてみるのは、あの少女の…

+十月の扉をさがしながら歩きつづける夜

+ 十月の扉が開かない。まだ金木犀が咲いているのを見ていないから。 ここではないところへ通じる道を探しつづけてる。扉の先にある、むこうがわへと、自由に往ける道。ちいさくまたたく星のような金木犀の花々の、あの懐かしい馨りが、その目印。 でも、今…

+Collateral Murder、だから目をそむけない

――『ジュリアン・アサンジ自伝』を読んだときに + コラテラル・マーダーと名づけられた映像を見る。ウィキリークスにリークされ、編集された映像。イラク戦争のときの機密映像で、米兵が上空から攻撃したのが、民間人か否かで世界中の耳目を集めたもの。 +…

+嵐の中に耀く月の、明るさの

+ すっかりあきらめていた、嵐の日の十五夜の月。いつ見上げてもその美しさは、心身に沁みとおってくるのだけれど、この夜の月は、いままでにないくらい不思議なひかりを放っていた。烈しい風雨ののちの、雲の切れ間に明るく強く耀く月。微熱や頭痛もしだい…

+消えるチェシャ猫マグ♪にやにや笑いと一緒に真夜中のティータイム

+ ずっと欲しかったマグカップが英国から届きました。セールになっていたので思わずカートへボタンをぽちりしたもの。お湯をそそぐと、物語どおりチェシャ猫が消えてしまう! というマグカップです。 + 紅茶は、ムレスナティーハウスのジャスミンと桃の紅…

+きもちは、崑崙山の西王母の蟠桃宴

+ 夏の疲れがではじめたのか、食欲が落ちているこのごろ。なので、いちばん好きな果物を買ってきて、食べおさめをしました。長野の白桃です。 + きれいに剥かれた果肉は、瑞々しくて生きている宝石のよう。不老不死になるという神々の聖なる飲み物、 ネク…

+9月1日、『幻想文学講義』対談、幻想と怪奇ではじまる秋

+ いってまいりました。浅草橋のパラボリカ・ビスで行われた『幻想文学講義』の対談イベント。怪奇もそうですが、幻想文学と名前のつくイベント、世代的にあまりご縁がなくって、なので、わくわくしながらの参加でした。 とはいえ、またまた道がわからなく…

+8月31日、青い満月の夜、蝉の屍骸を数えながら

+ 月のひかりがとても綺麗で素敵な、ここ数日。「天使のたまご」のサントラを聞きながら、もう誰もいない夜道を歩いて帰っていると、あの少年やたまごを大事に抱いた少女がふっとあらわれそう。どこにもいないはずの魚の影が目の前をよぎったら迷わず追いか…

+バーン=ジョーンズ展、神話に触れる夏の午後3時

+ ようやくいくことができました、前ラファエロ派最後の画家とも称されるバーン=ジョーンズ卿の絵画展。日本初の個展とのこと。最終日近くなので、人が多かったらどうしようとこわごわ、でもちょうどいい混み具合でした。 + 会場では、可愛いと聞いていた…

+贅沢な時間、風が教えてくれるのは

+ 徹夜に終電つづきの日々が終わって、ようやくお休みの日。暑くて、1日中ベッドに倒れながら、ずっと風の音をきいていた。本やDVDやCDは山積みになっているけれど、カーテンをひいて、お部屋を暗くして、目を閉じて、胸の上で両手を結びあわせて、なにも…

+お盆、すべての死者と生者に

+ お盆。生きている人のこころのなかにしか、死者は還ってくることはできない、きっと。+ ならば、わたしが今ここに在ることが、少しでも失われたものをさし示す鍵に、あるいは受けとめる器となりますように。死者の思いは、失われたものたちの記憶は、生…

+かすみ草と百年、澁澤家のほうへ

+ 8月5日の今日は澁澤龍彦氏の命日。ひっくりかえした5月8日がちょうどお誕生日になるの。好きな花はかすみ草だとどこかで書いていたから、お墓まいりにいったときはかすみ草がたくさん入った真っ白な花束を抱えていった。そうして、あのまさに胡桃のなかの…

+夜毎にめくる幻想妖綺譚

+ ペルッツ! ペルッツ!!ペルッツ!!! 念願のペルッツをようやく。今年はいつもにまして幻想文学におもいっきり浸れそうな夏です。うれしい。夜毎に石の橋の下で作者: レオ・ペルッツ,垂野創一郎出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 2012/07/25メディア…

+蝉の声、夏がはじまる

+ 今日初めて蝉の声を聞いた。屍骸はいくつか見かけていたのだけれど。突然、耳に飛び込んでくる生命と死の歌。からだじゅうにしみわたったら、いっそう鮮やかに夏の匂いが鼻腔を衝いてくるね。気づかないうちにも、季節は巡っていたのだと。+ 一呼吸おい…

+13日の金曜日はロシアの猫の魔的なひびきの

+ 13日の金曜は、夜にはいろうとしたお店がどこもいっぱいで、ロシア人が経営しているロシア料理店で打ちあわせでした。お料理のオーダーは、ロシア語に堪能な方におまかせ。脂っこいかもしれないと密かにどきどきしていたけれど、思ったより大丈夫でした。…

+ブラッドベリ、お話を話す人、その日は満月の夜でした

――最後に、もしもあなたがまだ生まれていない将来の読者のために、自分自身にレッテルをつけなければならないとしたら、どんな種類のレッテルを選びますか? SF作家ですか、幻想家ですか、どうでしょう。 それの答えとして、タイム・マシンに自分を乗せて、…

+夏越の祓え

+ 6月の最後の日は、夏越の祓え。たねやさんの水無月をいただきました。魔と暑気を祓う最強の和菓子。 + 近所の神社にお散歩にいったら、茅輪神事はやっていないとのこと。すこし残念に思いつつ、携帯カメラで、境内を撮影しながら歩いていると、鈴の音と…

+神秘と出会えますように@薄い街展

+ 先週末、佐藤弓生おねえさまの短歌と田中流氏の写真による「薄い街」展@百日紅へ行ってまいりました。田中流さん、あの書物つながりというよりは、たびたびお仕事ご一緒していただいているカメラマン・染谷学氏の教え子にあたられるのだそうで、こちらの…

+井上円了展@丸善OAZO

+ TLやマイミクさんたちの話題になっていた井上円了展@丸善OAZOにいってまいりました。みなさまがおっしゃられていたとおり、素敵な展示でした。文献資料は図版にたよることにして、それ以外のものをじっくり眺めます。図版では再現できない鮮やかな色を…

+ウツボラとお誕生日

+ 5月はお誕生日の日に買って一気に読んだ。特典ペーパーつきでした。忙しくて普通どおりの一日だったけれど、そんな日にこの物語を読めたのは幸せ。もうずっと長い間、続きを待っていた物語だったから。+ 読了後の数日、作品にでてくる女の子みたいな黒い…

+本で一杯のお部屋には

+ 本で一杯のお部屋にはもちろん魅了されるけれど、アヤナミ部屋みたいな、なにもない部屋にもあこがれる。そろそろそんなお部屋にしてもいいのかもしれない。ほんとうに、大事なものしかないお部屋に。+ こころのなかも、そうやってそぎ落としていく。も…

+GWやスーパームーンのことなど

+ 久しぶりの日記です。なかなかあわただしくて書くのもままならなくて、それでも少しずつでもアップしていきたいなぁと思うのです。曜日や時間の流れもわからなくなってしまいそうな毎日だったりするのだけれど、心ときめくことや憶えておきたいことはやっ…

+ミルラとコルセットと翼

+ 仕事がおわらなくて、真夜中にタクシー帰宅。日付が変わる。すこし倒れてて、ようやく意識がもどったので、熱いシャワー。夜あけ前に、ミルラのボディクリームを身体中に塗る。特別な香りだから、ミルラは。+ 息が止まるくらいぎゅうぎゅうにコルセット…