37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

万聖節の前の晩

今年もこの季節。万聖節よりもハロウィンイヴの日のほうがほっとする。

胸の奥にゆっくりとひろがるやわらかいひかり おだやかな凪のように、こころの海を充たしていく かなしみ、よろこび、うれしさ、いかり、にくしみ、せつなさ、じょうねつ ありとあらゆるかんじょうがとけた海は、おおきなうずをまき、 いま激流さかまく螺旋…

「誰か」に

「誰か」に完璧に「所有」されたい。そうはいっても、たとえどれほど破綻しようとも、わたしはわたしの「物語」を生きねばならない。生きて存在しているかぎりは。でも、このごろの内部の喰い荒らされ方は酷い。完全無欠な物語を求めているわけではないのだ…

『フロム・ヘル』の献辞

君たちの存在と死。あらゆることの中で、それだけは確かなこと。 おやすみ、お嬢さん。 『フロム・ヘル』巻頭の献辞。Jack the Ripperに殺されたとされる娼婦たちへの。この献辞ガなんだか気になって、無性に本編を読みたくなっている。――存在と死。それだけ…

鮮紅色の夢

「夢をみました」 「どんな夢?」 「お医者様の彼に愛されて、愛され尽くして、最後は生きながら四肢を解体される夢」 「きみはそれを受け入れたの?」 「……受け入れたというより、それが彼の最高の愛情表現だとわかってしまったから、だから受け取りたかっ…

蒼い月の夢

神話の世界へと降りていく夜――石畳の影で繰り広げられる酒宴、鉄製の文字に縁取られた名前、深緑のアンティークの椅子、石榴と葡萄と林檎の果実の香り、暗くおだやかな蝋燭の照明、ひっそりとしのびよる太古の気配、透徹した視線、永遠の切れ端、時の止まっ…

誘惑

誘惑があった。永遠をひとつ、手にいれようかどうしようか、迷っている。

10月

すこし冷たい風が夏の終わりを告げる。さびしい。次の季節が巡ってくるというのに。