37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

2008-01-01から1年間の記事一覧

暴力

なんだか心が揺れていて、鎮まらない。ずっとずっと長い間、遠いところへの憧れを綴らずにはいられないときがときどきあって、でも、それがあんなにもだれかのことを傷つけていたなんて。……たぶん、傷つけたのだと思う。その言葉であっていると思う……それに…

ほんとうに、ひさしぶりに、ほんとうに泣いてしまった。独りで。とめられなくて、夜明けまで。でも、けっしてマイナスだけの感情ではなくて。そのひとは信じてくれなかったけれど、ほんとうのことだ。

幸福

偏頭痛と微熱の身体を抱えて力がある限り、さくさくと片付けをすすめる。今年から始めた身辺整理。今年の初夏、とある物語に出逢ってからは、それが加速した。もうなにもほしくない。なにもいらない。全て片付けてしまいたい。ほんとうにだいじなものだけの…

世界の……

世界の重みとあたたかさを感じながらねむる。 このまま、そのちからに壊して貰えたらいいと思いながら。

夢について

「ひとたび眠りこんでしまうと、もはや私は自由意思で眼覚めることはできず、眼覚めを目標として見ることはできない。なにかをまえにして、それを夢とみなす力を私は失ってしまっている」(ポール・ヴァレリー「夢について」) 眼覚めることができない、と夢…

喪失

たとえ目の前にある世界や自分が次の瞬間になくなってしまうのだとしても、この意志は、悔いがのこらない。そう思いや覚悟を決めた瞬間、同時に身体が動いている。思った通りに。そのままに。すべては喪われる可能性を常に孕み、だからこそ一瞬一瞬は疎まし…

絶望と……

他人や世界に絶望することがまずない。なにかやだれかに絶望するのに似た思いを抱いたそのときは、まだ絶望するほどの自分が残っていたのだと自分で自分に溜息をついている。そういう自分にあらためて気付かされて愕然としている。なによりも自分自身に対し…

屍体遊び

朱い闇に沈むのも、お薬も怖いので、コルセットぎゅうぎゅうに締め付けて、ベッドで横になっている。金属製のボーンがちゃんと16本はいっている、EXCENTRIQUEのアンダーバストコルセット。黒のふわりとしたスカートと同じく黒いレースのストッキングに、同じ…

12月

どうしていいかは、あいかわらずわからないのだけれど、ここしばらく「がんばらないことをがんばる」ことで、何とか自分をたもってみる。またすこしごはんがたべられなくなっている。おなかはすくのに、なぜかくちになにもいれたくないときがある。はやくど…

――3年間の神(鬼頭莫宏『殻都市の夢』)

「わたしは命をもらった」からだとひきかえに、3年間だけ命をもらった女の子の話を読む。――餓死寸前の女の子の前に現れたひとりの男は、いま死ぬか、自分の許に来て3年間生きるかえらべという。女の子は生きることをえらんだ……男は余命3年の性病に罹っており…

珊瑚礁を見に…

将校だった大叔父がなにかの本を読んで急に珊瑚礁を見に行きたいといって、休暇をとった(何の本か気になる! 沖縄あたりへ?)。出がけにベルリオーズの幻想交響曲のレコードを半分かけて、帰ってきたら残りを聞くと言って、そのまま帰らなかった。帰りに、…

悪夢に

夢の通路をあけておく。何処までが現実で、何処からが夢かを教えて貰うために。怖い夢を見ないように。ここに還ってこれるように。それでもひとたび眠れば、今日も夢と等しくなる。分厚く積もりつづける夢の体積に日常を押しつぶされながらふと気付く。常に…

tout disparaitra

どうしようもないことがこのせかいにはたくさんあって、もっとちゃんと言えば、どうしようもないというより、事実でしかない出来事には、ことばさえきえてしまう。ことばを投げかければ投げかけるほどそこから遠く離れていってしまう出来事が、この世界には…

そのときまで

いきたいひとがいきられないのはつらいね、とそのひとがいう。もう何度も聞いた言葉。覚えている、あのときも、あのときも、あのときだって。 そのことばをまえにして、じゅうぶんいきられるのに、ときどきそうしたくない衝動にかられ、逃げ切る自信がいまだ…

約束

約束をふたつ破ってしまっていた。ひとつはかろうじて守れたような気がしている(わからないけれど、わからないけれど)。

その3

大丈夫?って訊かれたら、大丈夫、って答え方しか知らない。 ちゃんといいなさい、と叱られた。でも、たすけてほしいときはたすけて、とか、くるしいときはくるしいとか、つらいときは、つらいとか。でも、虚空にむかっていうのには慣れているのに、だれかに…

その2

約束をする。「うごけなくなったら、あたたかくて安全な処に移動すること。あたたかいものを飲むこと」あたりまえのことだ。ちゃんとじぶんをまもること。まわりにめいわくをかけないこと。そんなあたりまえのことが、ちゃんとできない。できていない。でも…

月曜日の夜 その1

何処かに行きたくてたまらないのに何処にもいけない日がある。 いいよって言って貰っているのに、声のするほうへむかえないときがある。 怖くないから大丈夫だよって言って貰っても、怖くて怖くて仕方がないときがある。そんな日は、いつもより深く自分だけ…

気がついたら12月。冬がすぐそこまできていた。

冬到来

夢中で走り抜けた11月が終わる。

夜の魔法

夜の散歩は大好き。 ねむっていたアンテナが目覚めて、白昼には見えなかったなにかを拾おうとする。なにげない風景も、少しちがってみえる夜の魔法。薄暗い路地から不夜城のようにあかるいビルやきらびやかな飲食店街を眺めながら、あるきつづける。この大都…

エリノア!

◆エリノア 42年ものあいだ、幻の少女漫画といわれてきた『エリノア』が、さわらび本工房から、ついに復刊するそうです。かつて『週刊少女フレンド』に一度だけ掲載された作品。当時十七歳だった作者はその後、次の作品を準備しているときに逝去。救いのない…

◆遠い 遠いところからきた、祈りのように密やかな贈物に、すこし胸が痛く嬉しい。 ◆試しに 試しにくっきりと少し強い線を一本引いてみた。引いてみたら、すこし楽になったところもあるみたいだ。そして、いづれにせよ自分が決めたそのときまでは笑っているこ…

みつからない

ちょうどよくおさまる言葉をみつけることができない。すべてにたいして。こういうときは、たいてい自身がよくわかっていないとき。そんなじぶんにいちばんいらいらする。

冬がくる

膚がおふろのあつい湯気に触れてようやく気付く、この世界の今日の寒さ。容易にあたたまらない身体、はじめから壊れている恒常性、たよりない回復力。世界はいよいよ寒くなっていく。どこからかぴしぴしと氷が張る音が、世界が凍てついていく音が聞こえたよ…

悪意の

今日は遠くまで行ってきました。お仕事だったけれど、往復4時間ちかく。けれど、なんだかこころはもっと遠くにいきたかったようで。ここではないどこかにいくために、帰りにヴィレッジヴァンガード。漫画や哲学、宗教書、小説、SFの棚をぐるっとまわって、…

彼の場処に

以前ほどではないけれど、何度も行ったその場所にいく。人通りはやっぱり少ない。だから、思ったよりもやすやすと辿りつきたいところに辿りつけてしまう。夜の独り遊び。何度か誘って貰ったこともあったけれど、行くときは独りのほうがいい。そこはそういう…

残雪を読みながら

残雪。あなたは不思議な作家。あなたの文章は、ふとした日常生活のなか、甦ってくる。残り香のように、知らぬ間にそばにより添っている。かすかに、けれど決して消え去ることのない異端の匂いを漂わせながら。 残雪、canxue、日本人であるわたしには発音で…

万聖節前夜祭の夜

◆いつかはいなくなるから、やさしくしてもらっているのだとおもっていた。でも、もしかしたら、それははんたいだったのかもしれない。◆内田善美、『白雪姫幻想』をのこして読了。

グレゴリー・コルベール、ASHES AND SNOW

◆夢に還るいったいどれくらいの刻をやり過ごせば、たどり着ける夢なのだろう、此処は。長久の刻をカメラの前で過ごしながら、ようやく捉えた美しい一瞬。そのたった一瞬が、永遠の夢となって顕れている至福の映像。それが今年の誕生日に貰った、最も美しい夢…