37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

 その2 手元がくるって

衝動的にホチキスで指をばちんとやってしまいました。I字型の針が綺麗に指の腹の上におさまります。
あわてて抜いても血はほとんどでなかったのだけれど、指がじんじんしびれてしまったくらい痛い…それにしても、こんな痛みは久しぶりです。ホチキス針が埋まっていた指を握り締めながら、痛がりながら、その痛みに奇妙な懐かしさを覚えます。

でも、それより痛かったのは、本当に痛かったのは、心のほうみたいなのです。この痛みを恋しがる心のほうらしいのです。
なので、涙はちっとも出てきません。
泣いてなんかいません。
泣いてなんかいません。
泣いたりなんかしていません…
こういうのを、泣いているのだとは言わないもの。