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読書と映画の備忘録

● その3 女性工学三原則

オルガスマシン

オルガスマシン


●女性工学三原則

「おまえのからだはおまえのものではない。他の人間のものだ。したがってお前はそのからだを損傷してはいけないし、怠慢によって損傷をこうむることも許してはいけない」
「おまえは所有者(あるいは所有権喪失の場合には、男であれ誰であれ)から与えられたすべての命令に、たとえその命令が第一条に反するものであっても、従わなければならない」
「おまえはいかなる男も傷つけてはならない。また第二条を守らないことによって、男に不快感を与え、精神的傷をおわせてもならない」

イアン・ワトスン大島豊訳『オルガスマシンコアマガジン、2001)

顧客の注文どおりに、「製造」される高価なカスタムメイド・ガールたち。
特定の要求にあうよう、完璧な身体に仕立てあげられている。
彼女たちは、たとえどんなに異形でも、どんな酷い扱いを受けても、洗脳を施されているので、全然平気なのだ。

時々、此の手の人形(『FSS』のファティマにしろバージェス乙女にしろ・・・そのほかおおくのセクサロイドやら)を羨ましがってしまうのは、どんなに酷いことをされても、それを喜びとして享受できるよう、彼女たちが徹底的に洗脳されているからなのです。

・・・女性である、という記号を押し付けられながらしか、生きていけない場合も多い。
問題のひとつは、非女性に比べて、その記号が圧倒的に抑圧的で不自由なこと。

ときどき窒息しそうになる。感情を抑制できなくなる。
逃れることができないのなら、せめて、それを喜びとして享受できたらいい。
裏では戦っていても、笑顔で受け流せることができればいい。

・・・でも、人間である以上、所有もされ得ないのだし、カスタムメイドほど、だれかの欲望にぴったりフィットするような完璧な身体も持ち合わせてはいない。

それでも、自らの意思でそれを歓びに変えていくことができたなら・・・それは幸せ、たぶんとても。