10の-33乗、そして可能世界へ
9日の金曜日にお仕事であった方が余談で話してくれたのだけれど、現在、今、つまりこの瞬間を数字で表すと、10の−33乗という数になるのだって。それはあまりにも小さすぎて、量子的に測ることすら出来ない不可視で極小の世界なんだって。
見えない、予測できない世界。今の一瞬。仏教哲学では、それをひっくりかえして無限大の可能性を秘めている一瞬、それを今だと捉えるのだって教えて貰った。
それを別の言葉では可能世界、と言うそうだ。
だとしたら、私たちの世界は、無限に広がる可能世界の一瞬一瞬の連続で成立している。
一瞬にして三千世界が生まれ、ひとつをのこして、すべてが消えていく世界。
その残った、たったひとつの世界をわたしたちは現実と名づけている。それはわたしたちが生きている(と思っている)世界。この世界、わたしがこれを記し、あなたが読んでいる世界。
閉じられていく可能性の多さに恐ろしく思いながら、生き残るためには一つを選択しなければならないことも畏ろしい。ここは、選択してから選択してしまったと気付くしかない世界でしかないから。なぜそのひとつが選ばれるのかの答えはあるのだろうか。答えうるひとはいるのだろうか。
消えていった無数の世界においては、次の瞬間わたしが存在し得ない世界もあり得た。可能世界においては、不可能はないし、ありとあらゆることがありうるのだから。
存在していることの奇跡?
5分後も世界が在りつづける不可思議?
想像力でもってしても解けない謎に対峙すると、生き延びる意志が幾らあっても、それは簡単に打ち砕かれてしまう。
一瞬一瞬、何処にでも行ける可能性を持つわたしは、次に到達するために、一瞬前には存在したありとあらゆる可能性に目を閉じながら、この瞬間を跳びつづける。跳ぶしかないのだ。この暗い虚空の中を盲いたままに。
※以下は、数理神学入門のおすすめとして教えて貰った本のリスト。3冊目は隣接分野でキワモノだけれど、との注釈つき紹介。
可能世界の哲学 「存在」と「自己」を考える (NHKブックス)
- 作者: 三浦俊彦
- 出版社/メーカー: NHK出版
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- 作者: 落合仁司
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- 作者: 苫米地英人
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三浦俊彦、やっぱり『M色のS景』のひとだった…。『倫理パラドクス』、探せば本棚にあるかな。