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読書と映画の備忘録

『Carrie』

絶望的なものを酷く欲していて、気がつくとレンタル屋さんで『Carrie』を借りていた。ちっちゃいとき、テレビでやっていたのを見たようなおぼろげな記憶はあるのだけれど。

ネットなどで怒りとか復讐というような紹介文も読んだけれど、そんな風にはぜんぜん見えなくて。特殊能力でクラスメイトや先生を壊したのではなく、悪意にさらされて、どうしていいのかわからなくなってしまったキャリーが、つらくて暴走してしまっているだけに思えてしまう。無条件に愛情をもらえるはずの母親からも最後まで拒否されていて。世界に受け入れてもらえない怒りより、かなしみでいっぱいになってしまって、最初から最後までずっと泣いているよう。

結局キャリーが破壊していたのは、周囲の世界ではなく、彼女自身の世界。母親を殺し、自分のおうちだけを壊してしまう終わり方からもそう思えてしかたなく。

周りへの怒りよりもかなしみと絶望に充たされてしまっているところに共振してしまう。そうして世界を閉じるしかなかったものがたり。だから、ちっとも怖くなんかなくて、とても寂しくて孤独でかなしいものがたり、でした。

でも、映画を見たときの気持もそんな感じ。この映画を選んだかすかな直感を喜びつつ、脳内でさっそくお気に入りの映画に振り分けます!

そうそう、冒頭のシーンはとてもエロティックで綺麗で素敵でした。意地悪で石鹸に剃刀の刃でも埋められていたのかと思ったら違ったのですね……。