37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

この軽さが僕のすべて

早く飛行機に乗りたい。雲の上へ昇って行きたい。そこには、なにもない。なにもないのに……。
支えになるものも、褒めてくれるものも、愛してくれるものも、なにもないのに。
けれど、邪魔なものも、遮るものも、僕のことを馬鹿にするものも、なにもないのだ。


躰が軽い、と感じる。この軽さが僕のすべて。
愛するために生まれてきたのではない。
愛されるために生まれてきたのでもない。
ただ、軽く……、飛ぶために、生まれてきたのだ。

                               ――森博嗣ナ・バ・テア』(中公文庫、2005)より*1
                                 

ふわふわとしているのが、もう熱のせいでもいいの。まるで、重力から解き放たれた気分なのだもの。

*1:※本文を読みやすく改行しました。もともとのレイアウトとは違っております。