最後の三日月
今週いっぱいで店じまいになる「もりそば 三日月」に行く。
店主のT氏とのお約束だった、なっとうそばをいただく。なっとうそばは、ちょっと苦手・・と言ったのを、うちは絶対美味しいので、食べにきなさい!と、誘っていただいて、今度うかがいますと約束して、でも、そのたった三日後にT氏は急逝されてしまって・・・それっきりだったのだ。
一年越しの約束のおそば。
ふわふわにあわ立てた卵白のなかに納豆が上品にのっていて、とても美味しかった。一緒に行ったのは、同じく最後のその日にですぺらにいたひと。
温かいおそばを頼んでいたので、それもひとくちいただいてしまう。
こちらもとても美味しい。
ですぺらでは、酔って陽気なT氏しかお会いしたことは無くって、会うと洒落ばかりで、笑いながら背中をばんばん叩かれたことを懐かしく思いだします。
さいきん、時間が凍ってしまっているようなわたしには、もうその思い出も、つい最近のようでもあり、遠い日のことのようでもあり・・・三日月を出てから、この感覚はとても夢に似ていると気づきます。夢遊病者のように、ふわふわしながら、帰路につきました。