37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

箱庭療法vsTAROT

このあいだの水曜日、カウンセリングにて箱庭療法というものをやってみました!大学で心理学講座も履修していたり、心理学系の本が好きで、どういうものか知らないわけではなかったので、意図的になってしまうんじゃないかと思ってずいぶん躊躇ったのだけれど、一度やってみたかったのです。もしかしたら、無意識がその一角を顕すかもしれないという微かな予感に期待もして。

用意されたのは、幅50センチ、長さ70センチ、高さ10センチの長方形の箱。箱の内側は青色(水の象徴)で、白い砂が敷きつめられているそこに、さまざまなオブジェを、自由にえらんでおいていく。
砂も、小さいスコップで自由に山やくぼみをつくってもいいそう。
まるで、『果てしない物語』の色の砂漠みたいに、自由に。
そのときに、ほしいと思ったオブジェ(教会と柩)がなかったので、もうただ直感的に箱の中に世界を造っていく。その作業は、なんだか夢をみるのととても似ている。

ひととおりあれこれならべてみて、ようやくこの世界はこれで完成した、と思ったので、できました、と言う。この箱庭のなかの世界を安易に象徴的解釈をされてしまうのは厭、でも純粋に自分の感性に従って造った世界なのです、と先生に伝えた。
すると、
この世界はいまどうしてこう在るのか?
これからさき、どうなるのか?
過去、現在、未来はどうなっているのか?
この世界を説明してください、と先生が言った。

わぁ、ねぇ、それって自分で物語っていいの?
先生が世界を分析するんじゃなくて?
それってそれって、並べたカードの絵柄を読み取って、物語るタロットとそっくりではないですか!?
ばらばらの事象を、カードの絵柄とその豊かな象徴によって、インスピレイションを得ながら、言葉を織りなしてひとつの「物語」にしあげていく、タロットと同じ!

どこからか飛来する言語を紡ぐという神秘に魅せられて、わたしは語る。
見ていた夢を思い出すように、直感的に、言葉を。物語を。
自分が造った箱庭の世界についての創世神話を。

「言葉は呪だからね」
「内側の世界に於て、言葉は万能だからね、届けば効く」
「内部世界が変容すれば、外部世界に対する認識も一変するものなんだ。凡ての呪文は対象の歪んだ世界を是正するためだけに貢献する」
京極夏彦邪魅の雫講談社NOVELS,2006)

邪魅の雫 (講談社ノベルス)

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届け、響け、呪文。
歪んだ世界と歪んでいない世界のどちらをも認識できるように。