[言葉]
「マーガレットがどうしたんだ?」と兄さんがいった。「おしえてくれ」
「死んだ」とフレッドがいった。
「どんな風に?」
「首を吊ったんだ」
マーガレットの兄さんは、ほんのしばらく、じっとまっすぐ先を睨むようにしていた。目が曇ったようだった。誰も何もいわない。フレッドは土にもうひとつ円を描いて、それからそれを蹴飛ばした。
「それでよかったんだ」やっと、マーガレットの兄さんがいった。「誰のせいでもない。あいつは悲しみにくれていた」
(リチャード・ブローティガン、藤本和子訳『西瓜糖の日々』河出文庫、2003)
- 作者: リチャードブローティガン,Richard Brautigan,藤本和子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2003/07/01
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