37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

[言葉]

「マーガレットがどうしたんだ?」と兄さんがいった。「おしえてくれ」
「死んだ」とフレッドがいった。
「どんな風に?」
「首を吊ったんだ」
マーガレットの兄さんは、ほんのしばらく、じっとまっすぐ先を睨むようにしていた。目が曇ったようだった。誰も何もいわない。フレッドは土にもうひとつ円を描いて、それからそれを蹴飛ばした。
「それでよかったんだ」やっと、マーガレットの兄さんがいった。「誰のせいでもない。あいつは悲しみにくれていた」
リチャード・ブローティガン藤本和子訳『西瓜糖の日々』河出文庫、2003)


西瓜糖の日々 (河出文庫)

西瓜糖の日々 (河出文庫)