37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

山荘綺談[本]



……今度こそ大丈夫だわ――ハンドルを切って車道のまがりかどに立っている大きな木をめがけて真一文字に車を走らせながら彼女は思った――今度こそ大丈夫……今度こそとうとうあたしは一人でやってるんだもの……あたしがよ……今度こそ、今度こそ、今度こそ、あたしが一人でもやってるんだもの……
 車が木に激突する直前の、無限で、しかもアッという間もない一瞬間に、彼女は頭の中ではっきり考えていた――「どうしてこんなをことしているのかしら?……どうしてこんなことをしているのかしら?……なぜみんなはとめてくれないのだろう?」
(シャーリィ・ジャクスン/小倉多加志訳『山荘綺談』ハヤカワ文庫、1972)

……昨晩もあるひとと似たようなことを話していた気がする、たぶん。