37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

夜あけまでのひととき、暗い暗い夜のうちに、全てから魂を解き放たれたわたしは息を潜めながら、世界の秘密を書くことによって暴き出そうとする。魂の闇、生と死、光と影のコントラスト、腐肉のうちに宿る不滅のもの、永遠の名の下にうつろい消えてゆくもの、そして虚空を、真空を、魂を揺さぶり焼き尽くすものを、夢が生成する所処を、始まりがないため成就することもない愛を、恐怖と畏怖と憧れに彩られている死を――でも、ほんとうに書きたいものは、知りたいことはたったひとつ。それらのディティルを描き出す行為を通じて、ずっと貴下の気配を感じていたい。知りつづけたい。深めつづけたい。薄れ行く記憶を幾度もなぞり、つなぎ止め、その強度を増やしてゆきながら、貴下をふたたびわたしのなかでかたちづくり、忘れられた径を再び見いだして貴下に辿りつきたい。