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ニンニの細い足は、いわれたとおりにはねたり走ったりしました。でも、それからまた彼女は、両手をだらんとさげて、たちどまってしまいます。銀のすずから上のからっぽの服のあたりは、おかしいほどたよりなげに見えました。
「そんな人があると思って? あんたには命ってものがないの? 鼻をピシャンとぶたれたいの?」
と、ミイはどなりました。
「ごめんなさい」
と、ニンニはおとなしくいいました。
「この子は遊ぶことができないんだ」
と、ムーミントロールはつぶやきました。
「このひとはおこることもできないんだわ」
と、ちびのミイはいいました。それからは、ニンニのそばへよっていくと、こわい顔をしていったのです。
「それがあんたのわるいとこよ。たたかうってことをおぼえないうちは、あんたには自分の顔はもてません」
※皮肉を言われすぎたために青ざめっぱなしでとうとう姿が見えなくなってしまった女の子ニンニのお話。前の抜き書きから。
※ムーミン谷マイベストは、『ムーミン谷の彗星』。次点が『ムーミン谷の冬』です。
(トーベ・ヤンソン、山室静訳『ムーミン谷の仲間たち』新潮文庫、1979)
- 作者: トーベ・ヤンソン,Tove Jansson,山室静
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1979/05/25
- メディア: 文庫
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