37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

夢の場所

本とか映画とか音楽とか原稿とか言葉とか、まだかたちになっていない気配とか、すばらしいものに日々出逢えていて、どこか涙腺と心が緩んでいる。でもそれは、いつもといえばいつものこと。嬉しいこと。
 よくばりでよくばりでよくばりなわたしは忘れたくないことが多すぎて、頭の中で反復を繰り返す。何気なく過ぎていく日々、少しでも鮮明にいまを覚えていられるように。たとえ泡沫のように消えていくものだとしても、全てが終わるとき、またもう一度夢で逢えるように。それともそれは此の永遠に終わりの無いような現実の延長に存在している、のかもしれない。ほんとうにかすかに、かもしれない。でも、何処にもないかもしれないものが在ることを、いつもどこかで祈りのように願っている自分もいる。
もしかしたら夢と現実はウロボロスの蛇のように繋がっているのだろうか。――夢と現実はおなじものでできている、といっていたのは押井守だった。そうなのかどうかさえわからないけれど、もしいるのならその蛇がつくる円環はあまりにも遠く遠く大きく繞らされていて、わたしにはまだ何も見ることができないみたいだ。

……今日は、改めて恐怖と畏怖がまた紙一重のものであるということを思い知らされた日だったような気がする。まだ今夜は窓の外からは激しい雷の音が聞こえてくる。明日はどうか青く澄みわたった空が見えますように。