月曜日の夜 その1
何処かに行きたくてたまらないのに何処にもいけない日がある。
いいよって言って貰っているのに、声のするほうへむかえないときがある。
怖くないから大丈夫だよって言って貰っても、怖くて怖くて仕方がないときがある。
そんな日は、いつもより深く自分だけの世界に潜っている。だんだん自分の声が消えていくのがわかる。
見送って貰ったのに、駅でうごけなくなった。2時間。時間の感覚は消えてしまっているから、あとで気付いた。2時間もたっていた。立ち竦んでいたのは改札のすぐそばだったけれど、そのあいだに3人ほどに声かけられて、そっちのほうにつかれてうんざりしてきたので、どうにかこうにか動こうと思う。ようやく一歩を踏み出して、さらに冷たくなってきた風に凍えながら帰路につく。
おうちに帰る。たったこれだけの、あたりまえのことがどうしてこんなに難しかったりするのだろう。おうちなんて、ほんとうはどこにもないのかもしれない。