『フロム・ヘル』の献辞
君たちの存在と死。あらゆることの中で、それだけは確かなこと。
おやすみ、お嬢さん。
『フロム・ヘル』巻頭の献辞。Jack the Ripperに殺されたとされる娼婦たちへの。この献辞ガなんだか気になって、無性に本編を読みたくなっている。
――存在と死。
それだけが確かな真実 紛れもない事実 「君たち」だけではなく、おそらくわたしたちにも 間違いなく誰にでも確実に起こること。生きている間に、あとどれだけその振幅を大きくできるのだろう。臨界点を振り切って、新しい世界を見に行くことができるのだろう。その揺らぎの中でしか見えないもの。揺れ幅が大きければ大きいほど確かに立ちのぼってくるはずの、あのなにかの気配を感じ取っていけるのだろう。
しんだらなにもないよ、なにもない。ひとは新陳代謝だから。
いつもだれかにいわれてきたことばが頭の中をかけめぐって離れない夜。