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読書と映画の備忘録

たとえば

子供のときから、「子供」のままでいたいなんて思ったことは一度もなかった。ちがう、正確に言うと、そのままではいられないことを知っていた。だからといって、「大人」になりたいと思ったこともなかった。「子供」でいられないなら「大人」になる、というのは、その選択肢だけしかないのなら、単なる逃げ道だとしか思えなかった。

それよりいつだってもっと違ったなにかになりたかった。「」で括られないなにか。ありあわせの言葉では、間に合わないなにか、追いつかないなにかに。