37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

去っていかない恐怖なら


去っていかない恐怖なら、いっそ憑り殺してくれたらいいのに。



美少女を生きるって大変、美しさのそのぶんなにかを背負って生まれてくるから、只では生きられないからという話にふかくうなずいてしまう。
わたしのまわりにもたくさんの美しい少女たちがいつもいて、いまはもうそれぞれに生きて散ってしまった。あるいは現在進行形で散ろうとしている。それに居合わせるたびに胸が激しく痛む。
生き残っている子たちは、いつもどこかとても苦しそうで。少女であるのをとっくにやめてしまった子たちもいる。生きのびるために。そして、それは「とてもよいこと」だ。この世界で生き抜きたいという意志が少しでもあったのなら。少女であったことも忘れてしまえばいい。そうであったことを美化して大事にもっておく必要もない。ただ苦しいだけかもしれないそれを。たまたまそう生まれついてしまっただけのそれを。
そんなつまらないもの、もう捨ててしまって。


もっとも、どんなにお年頃でもそのような生きにくさが皆無の生物を、わたしは少女と呼びはしないのだった。