37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

失敗


「人間」になろうとおもって、また失敗している。せめてなにかのふりをと思っても、それもできないまま。



日常にそっとかけられているちいさな儚い魔法を愛してる。そして、それでいて破壊や消滅を微塵もおそれていないものを。



去年、ずっとつくっていた念願の本を2冊ようやく出せたとき、S先生が、にこにことしながらこう言った。

「こんな本をだしてしまったら、あとは堕ちるしかないね!」

あかるくてまぶしくてぱぁっとした言いかただった。底がなかった。なにもなかった。
とてもうれしかった。



もう何年もまえ、とても調子を悪くしていたとき(何度目かの)、遺影のつもりで写真を撮りにいったことがあった。ようやくできあがってきたそれは結局受け取ってくれるひとがいなかったので、まだ手元にある。

いつかもう一度お願いしてみようか。