37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録


わたしにはまもりたいものがあり、まもらないといけないものがあり、それをまもりえるのならば、肉体や命を消尽しつくすのを厭う理由は微塵も見当たらないのだった。



なぜいつもなにかを読んだり見たり聞いたり書いたりしているのか、わからない。理由をよく訊かれるけれど、自分でも知りえない。
でも、気がつくともうずいぶん長いあいだ、なにかを探し、求めつづけている。ここにはないなにか、ここではないどこかにしかないもの。いつも捕まえたとたんすり抜けていってしまう、手のひらに閉じ込めたとたん、違うものにたちまち変化してしまうなにかを。

わたしの奥深くに内在する根源的な渇望。もしも存在するならば、その真影に出逢いたいという思いが心を世界に向かわせつづける。でも、たとえ最後になにも残っていなくてもそれはそれで満足してしまうのだと思う。






ベッドによこになったのに、怖くなってしまったので起きてきました。
書いています。今夜は大丈夫だと思ったのに。突然なにもかもが怖くなる。さっきまで全然平気だったのに。先週後半から夜になると強い不安や恐怖の発作がおきます。外的要因を一切無視して。呼吸が苦しくて心臓が痛い。この5秒前と後の世界の見え方の違い。恐怖に襲われるまで気づかないけれど、なぜかその落差が烈しくなってきていることだけはわかります。

怖くて苦しくて全身の力が抜けて動けなくなって、自分になにがおきても、なにをされても他人事のように見ている。ものが落ちてきても、倒れてしまっても痛いなぁって感じながらそのまま。外の世界で起きることに対して何の反応もできない。

自分の身体だけれど、どこか遠い出来事のように感じてしまう。なにか圧倒的なとてもつもなく強い力で、身体と神経の回路が遮断されてしまう感覚。文字通り、糸が切れた人形のようです。そのくせ、切り離され続けているのは恐ろしいという強い恐怖感だけはあって。悪夢に泣いて目醒めたときの気持悪さそっくりそのままに、涙が顔をつたっていく感触。それだけが強いリアリティを残す唯一のものだったりする。

まだ、窓の外は冥く、夜が明けないことだけが嬉しい。