37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

おわらない、だから、ほら、夏はいつも特別な時間がながれている


暑さで記憶が朦朧としていて、偏頭痛がひどくなってくる。いざ目を閉じると冴えるくせに、暑さでからだがけだるくてねむたい。電車ですわっていてもくらりくらくら貧血をおこす。ごはんたべなくっても平気になって、ずっとふわふわ白昼夢の中にいる気分。怪我しても遊んでいてもどこか不機嫌なゆめみごこち。太陽がしずんでようやく食欲がでてくる。水にもどされたさかなのように生き生きと身体の生理反応が回復する。



生きている実感がいつもより薄くなるのが、ひどく淋しくて愛しくてまぶしくて、一日一日を凍らせてしまいたくなる。掌にのせて、硝子の破片のような日々を握りつぶしてしまいたい。雲が白く沸いている空、熱いアスファルトに落ちる緑陰、なまぬるく澱みだした風が吹く夜は、束の間の安息をもたらす闇さえうすくなっているような気がして仕方ない。



夏のあいだ、夏はおわらない気がする。なのに、他の季節に比べると、いつもとつぜんやってきて、とつぜん終わってしまう。あ、だから、ゆめと似ているんだ。おわらない気がするのも、脈絡がないのも。



エンドレスっていう接頭語は春や秋や冬よりも夏にぴったりくる。だから、ほら、夏はいつも特別。特別な時間が流れている、今年は今年の夏の時間。毎夏、エンドレスにそこにとどまっていたいとおもうのだけれど、まだ叶わない。