37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

+ユメ十夜と永遠


『ユメ十夜』を見ていて気づくの。漱石がいう百年って、永遠のことなのかもしれないって。百年は、ほぼ寿命の尽きる、人間には追いつけない時間。


永遠をずっとさがしているけれど、まだ見つからない。
でも。
何処にもないと知っているからこそ、わたしたちはそれを夢見るのかもしれない。それが、存在しないものであればあるほど、遠ければ遠いほど、さらに強い力で彼方から此岸に呼びよせようとするのかもしれない。


だから、永遠など何処にもないと知っている人間、世界の秘密を知る人間こそが、永遠を手にすることができる。人間に赦されている最高の恩寵、夢を見る力で。


そして、わたしたちは醒めながら夢を見続けることもできる、たぶん。此処から乖離し逃避する妄想としてではなく、この恐怖と苦痛に充ちた現実と闘う手段として。