37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

+今年最後の、夜に


熱で、すこしふわふわしていた。今日は身体になにも傷がついていないから(つけるのではなく、ついてしまうときがある)、真っ白な寝間着を纏う。気温の下がった部屋、静かな音楽、低く響く洗濯機の唸り声。薔薇とミルラの香りのなかで、もう何度、月の盈虚を数えたのだろう。すべてが遠くて寂しくて静かな夜。生きている時間が増えれば増えるほど、憶えているものより、忘れていくもののほうが多くなっていく。だから、消えない呪いのように、或いは明日の自分への贈り物のように、書きつづける。まだ声にならない、かたちにならないものたちの気配を追いかけながら、今年も最期の時間が終わっていく。