37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

The Deadley Doris

G-Schmittという音楽を教えて貰った。それを聞いていて、思わず楠本まきを取り出す。だって、曲名と同じタイトルの漫画を描いているのですもの。考えてみたら、どちらも同じ時代の空気を吸っていたはずで……その時代が酷く羨ましかったり憧れだったりする。80年代。岡崎京子の『東京ガールズブラボー』な時代、いいなぁ。
 そのせいもあってか、どこまでも強くしなやかでのびやかなこの歌姫の声は、すんなり耳に届く。でも、手元に曲名と同じ『Kの葬列』という本はないので、代わりに楠本まきのなかでいちばん好きな2冊を。

出逢わないことを決めたために永遠であり続ける恋人たちの物語、『恋愛譚』。破滅せざるを得なかった恋人たちの話『DIE TÖDLICHE DORIS』。どちらも私的漫画版恋愛聖書。これからもきっと。

――そういえば、かばんのなかにいれっぱなしだったフェザーNO.10の鋏の切れ味がずいぶん悪くなっている。明日一番に新しいのを買いにいかなくては。これからもかたちのないものを、なにかのかたちに切りとりつづけていくために。

「永遠の恋人である為に
終わることのない恋愛の為に

僕達は決して出逢うことをしない」――『恋愛譚』(PARCO、2001年)

「あなた/思ったより/ずっとカンがいいのね」 「頭も/悪くない」 「もしかしたら/才能だって/あるのかも/しれない」
「―――――。/私は/ついているわ。」――『DIE TÖDLICHE DORIS』(祥伝社、1998)

恋愛譚

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致死量ドーリス (フィールコミックスGOLD)

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