悪夢に
夢の通路をあけておく。何処までが現実で、何処からが夢かを教えて貰うために。怖い夢を見ないように。ここに還ってこれるように。
それでもひとたび眠れば、今日も夢と等しくなる。分厚く積もりつづける夢の体積に日常を押しつぶされながらふと気付く。常に移動し続けるわたしこそが、夢と現実の境界、明滅しつづける終点と起点であるということ。
だから、いまだ見終わらぬ夢のために、今日もわたしは、わたしから、そしてどこからも逃げ続けている。ここではないところ、どこかどこでもないようなところへと。たとえば、あの美しい不安の詩を残したポルトガルの詩人のように。
夢が生成し、現実ととけあう場所をさがしながら、今日も朝が始まる。
こわい?
こわいです。