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読書と映画の備忘録

シオランより

死について考えていない、と気づくたびに、私はおのれの内の何者かを虚仮【こけ】にし、裏切ったような気持になる。

みずから欲するときに自殺できると確信できなくなったとき、はじめて人は未来を恐怖するにいたる。

いまこそ永遠にわが身を抹殺すべき瞬間なのではないか、と考えずには、ただの一度も、私は真の充溢感を、真の幸福感を味わったことがない。

人は動機なしに生きることができない。ところで私は動機を持っていない。そして生きている。

(E. M. シオラン『生誕の災厄』出口裕弘 紀伊国屋書店 1976.2)

動機を持っていない生をどのように跳躍すべきか。でも、宗教などにいくのは違う。仮想設定はいらない。あ、それも違う。死ぬまで見破れない大きな大きな虚構が与えられるのなら、それを望み、喜んで享受してしまうに違いない。