37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

夏の夢


今夏の体調不良は、暑さのせいもあるのではないかってそのあたりは警戒しながら過ごしています。書いておきたいことはたくさんあるのに、また偏頭痛でうごけなくなったり微熱だしてしまったりとか。はやくすずしくなぁれ。


そんな夏のせいか、ちょっと前に世界が終る夢を見ました。


夢の中で、たぶん20くらいは年の離れている男のひとの右腕に両手でぎゅっとしがみついて、その腕を抱き抱えるようにして歩いている。頭まで覆うローブをふたりともすっぽりかぶって黙ったまま、ふたりでずっと歩いている。わたしは15、6歳くらいの女の子らしい。男のひとは女の子より頭2つ分くらい背が高い。フードの深い陰影にかくれて、見上げても男のひとの顔は見えない。腕も被服に覆われていて肌の色はわからない。

砂漠、大地と空しかないところ。荷物はほとんど持っていない。視界は明瞭だけれど色の付いていない世界を歩き続けている。
一瞬世界の音が消えて、まっくらになる。はっとして顔を上げる、しがみついている腕にいっそう力がはいる。ふたたび見えた空は今度は真っ赤だった。空の彼方、四方ぐるりと何カ所も虹色に光る雲が見える。遠くで鈍い轟音がずっとひびいている。

兵士を乗せたジープが何台もとつぜんあらわれてやってきて、目の前を横切っていく。歩兵たちがばらばらとかけていく。いろいろな国のいろいろな装備で。たいそう急いで。ただごとならぬ様子で。男のひとがなにか、はなしかけては様子をきいていた。どうやら世界の終わり、ということらしい。何カ所もの場所で同時に原水爆が炸裂しつづけているのだった。

深紅の空のあちこちで七色に輝き続けるキノコ雲。いくつもいくつも花火のようにあがりつづけている。それがとてもとても綺麗で、私たちは軍隊がいってしまったあとも、立ち止まってずっとだまって空を見上げていた。さっきよりもいっそう熱気をはらんだ風が頬に当たる。黒い雲がすごい勢いでこちらにやってくるのも見える。もしかしたら次の瞬間、爆弾が落ちるのはわたしたちの真上かもしれない。そんなことを思い、恐怖で竦みながらもそれを上回る美しさにみとれつづけていた。確実に最後が迫ってくるのを知りながらも。


そこで夢はおわり。
微動だにできなかったのは、逃げ場はないとわかっていたからなのか。最後まで男のひとの腕はずっと抱き抱えたままだった。関係性の設定も無く、顔もわからないまま言葉も交わさないままだったのに。

でも、怖さよりどこか不思議な安息感がまさっている夢でした。