37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録


風にはらはらと散る櫻のように、なにかの場面やシチュエイションや言葉が、不意に頭の中に舞い降りてくることがある。自分の意志とは無関係に突然訪れるもの、飛来するもの。それは夢を見ることと、どこがちがうのだろう。

でも、その夢を見続けよう、見続けていたいと思うのは意志の力だ。その意志によって、断片はやがてなにかのかたちとして生成され、顕現する。

他者がつくったもの――たとえば、物語や映画や音楽や写真や――に、ふれたいと思うのは、自分では見ることのできなかった夢を見てみたいからなのにちがいない。

創造者たちは夢を見つづける。目を開いているときでさえも、ずっと。