37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

ネージュ≒エンジェル、昨夜は雪でした

こうしていると邪悪の精どころか 雪だけ食べて生きている天使みたいにもみえる 
ネージュ≒エンジェル ネージュ≒エンジェル 
あのころ このひびきの近いことにひとり感動していた

大島弓子『たそがれは逢魔の時間』



空から白いものがふわふわ降りてくると、こころのどこかが、いつもジャム(上の漫画で叫んでいる女の子です)と一緒に雪!!と叫んでしまう。遅かったのだけれど我慢できなくなって、ジャムの魂連れて、熱々のココア淹れて、しばらく外へ。情けないことに、暑さと同じくらい寒さも得意ではないのだけれど、雪は降っている間がいちばん好きなのです。


髪やコートに舞い降りる、その綺麗なかたちをずっと見ていたいと思うのだけれど、白い結晶はみるみるうちに消えていく。だから、余計に眼を奪われてしまうのだと思います。触れられそうで触れることが叶わないものだからこそ。


桜だって、枝もたわわな満開の頃よりも、やっぱり狂ったように舞い散る桜吹雪。掴もうとしても掴もうとしても、幻のようにてのひらをすりぬけていってしまう。とくに夜散る桜を見ていると、薄桃色の闇の向こうからこの世ならぬものがやってきて、心までもっていかれそうな気がいつもするものです。それが夜桜の楽しみなのですけれど。


ふりつづける雪、つもっていく、白くなっていく、音が無くなっていく、すべてが宇宙の静けさに包まれていく夜。街灯はくらく、人通りはほとんどなく、世界にたったひとりのような気持になっていくのに、ちっとも淋しくなくて不思議な充足感だけがある。


そうだ、思いだした……、雪が降る日は、お城に独り棲んでいる魔物に会いに行く約束をしていたのだった。夜が明ける前に、夢の中へ降りていかなければ。やむことなく真綿のような雪が降りつづける心の一番深い処、永遠にもっとも近い場所へ。

おやすみなさい。


※昨日って、23日のことになります。