+お盆、すべての死者と生者に
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お盆。生きている人のこころのなかにしか、死者は還ってくることはできない、きっと。
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ならば、わたしが今ここに在ることが、少しでも失われたものをさし示す鍵に、あるいは受けとめる器となりますように。死者の思いは、失われたものたちの記憶は、生きている者たちしか継承してゆくことはできないのだから。不可能なのだとしても、望むかぎり最期のときのまま、わたしたち生者の思いに歪め穢されないような在りかたで(だから、ほんとうにだいじなことはことばにしてはいけない)。
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まだ、生き延び続けているわたしのこころのなかを、訪れてくれる人々は、誰。わたしがいなくなった未来のこの日、呼んでくれる人はどこかにいるだろうか。
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名前を呼んで欲しい、今夜の夢で。明日があるなら、また新たな世界に醒めゆくことができるように。