37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

+お盆、すべての死者と生者に


お盆。生きている人のこころのなかにしか、死者は還ってくることはできない、きっと。


ならば、わたしが今ここに在ることが、少しでも失われたものをさし示す鍵に、あるいは受けとめる器となりますように。死者の思いは、失われたものたちの記憶は、生きている者たちしか継承してゆくことはできないのだから。不可能なのだとしても、望むかぎり最期のときのまま、わたしたち生者の思いに歪め穢されないような在りかたで(だから、ほんとうにだいじなことはことばにしてはいけない)。


まだ、生き延び続けているわたしのこころのなかを、訪れてくれる人々は、誰。わたしがいなくなった未来のこの日、呼んでくれる人はどこかにいるだろうか。


名前を呼んで欲しい、今夜の夢で。明日があるなら、また新たな世界に醒めゆくことができるように。