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読書と映画の備忘録

+9月1日、『幻想文学講義』対談、幻想と怪奇ではじまる秋

 

いってまいりました。浅草橋のパラボリカ・ビスで行われた『幻想文学講義』の対談イベント。怪奇もそうですが、幻想文学と名前のつくイベント、世代的にあまりご縁がなくって、なので、わくわくしながらの参加でした。

とはいえ、またまた道がわからなくて、すこし遅れてしまう……。数え切れないくらい行っているのに、迷ってしまうのが恒例行事に(ノ_・。)

東雅夫さん、石堂藍さんが、今野裕一さんの司会で、知りたくて知ることができなかった時代のことを肉声で語ってくださいます。70年代には、幻想を強く意識している作品がたくさん生まれていったこと、『幻想文学』創刊の80年代は、その総括にはいっていく時期だったのではないかということ。

あいまにそのころ、夜想はどうだったのかという今野さんのお話。古書店でしか、そのころ出ていた多くの本たちと出逢えないわたし、耳がぴくぴくしてしまいます。


雑誌『幻想文学』については、前身の『金羊毛』のころから目指していたのは、岩波の『文学』みたいなものだったということ、評論研究批評によって幻想文学というジャンルを問うこと、事典などを一緒に刊行することによって「幻想文学とは何か」を総体としてみること、などなどが根幹にあったというおはなしでした。


また、東さんの『幻想文学』の編集方針は編集者としてより、アンソロジストとしての意識が強いとのこと。石堂さんいわく、いろいろ入っていて、綺麗にもりつけて、あますところなくおいしいところを盛り込む「幕の内弁当」的編集なんです、とのこと。
それから、インタビューしてみたかった方は? という質問に、石堂さんが「泉鏡花」とお答えになっていたのがとても印象的でした。それはもう、読者としてもすごく読んでみたい!です。反魂香を焚いたら、応じてくださいそうな鏡花先生。お香を焚くお手伝いならば、いくらでもいたします。


さらに、40周年記念小冊子と新編バベルの図書館の内容見本がついてきました。どちらも美しいたたずまい。小冊子、どこで頂こうかなって思っていたので、うれしいです♪ 最後に、『幻想文学講義』に、サインをいただいてしまいました。かわいいおばけちゃん(ひとだま?)のイラストつき。幻想怪奇は数少ない胸ときめく偏愛分野、今回もめったに伺えない貴重なお話をたくさん拝聴できた、うれしいイベントでした。


幻想文学講義』は、ねむるまえに少しずつ読んでいます。イベントのお話を聞いたあとだと、さらにずっしりと内容が響いてくるようです。インタビュー形式だからか、目の前でお話をしていただいているみたい。静かな夜、紙面からふと声が聞こえてきそうな気がします。毎晩、夢枕でさまざまな方に極上の幻想文学講義を囁いてもらっているよう。初夏からキローガペルッツときて、読書の快楽や醍醐味に浸る贅沢な時間は絶賛継続中。


年初と同じく、秋も怪奇と幻想ではじまりました。夜が長くなればなるほど、夢もより深くなっていくはず。ねむりのなかでしか辿りつけない場所へ、少しでも近くに。 『幻想文学講義』をかたわらに、おやすみなさい。


幻想文学講義: 「幻想文学」インタビュー集成

幻想文学講義: 「幻想文学」インタビュー集成