37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

+十月の扉をさがしながら歩きつづける夜


十月の扉が開かない。まだ金木犀が咲いているのを見ていないから。

ここではないところへ通じる道を探しつづけてる。扉の先にある、むこうがわへと、自由に往ける道。ちいさくまたたく星のような金木犀の花々の、あの懐かしい馨りが、その目印。

でも、今年はまだどこにもみつけられなくて、たちどまれない。帰れない。扉の開く気配がどこかでしないか、耳を澄ませながら静かに歩きつづける秋の夜。