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読書と映画の備忘録

マダム・エドワルダ[本]

まったく思ってもみなかったことなのに、断末魔の時が始まっていることを私は「知っていた」。私は苦しみを受けいれ、苦しみたいと思い、もっと先まで行きたい、うち殺されてもいいから、「空虚」のなかにまで行きたいと願った。私は知っていた、知りたかった、彼女の秘密を知りたいとじりじりしながら、彼女のなかで死が猛威をふるっていることを一瞬たりとも疑わなかった。
バタイユ中条省平訳「マダム・エドワルダ」『マダム・エドワルダ/目玉の話』光文社文庫、2006)