37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

ステーシー[本]

詠子の笑顔は、ステーシー化する直前に少女たちが見せる典型的な表情だった。まるでこれから観覧車にでも乗り込むかのように、少女たちは死を前に何故かしら多幸感に包まれた笑顔を見せる。これから自分の肉体が、歩きまわる忌まわしい屍となることがわかっていながら。親か、恋人か、あるいは会ったこともない再殺部隊の男たちか、誰の手にかかるかはわからねど、百六十五分割されたグチャグチャの肉の破片になって四方八方に散らばる運命が待っていることを理解しながらも、十五歳から十七歳までの少女たちはなぜだか喜びに満ちた微笑みを見せた。(――「臨死優美状様」(ニアデスハピネスの説明))
大槻ケンヂ『ステーシー』角川ホラー文庫、2002)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

マダム・エドワルダ/目玉の話 (光文社古典新訳文庫)

葬儀の日 (河出文庫―BUNGEI Collection)

葬儀の日 (河出文庫―BUNGEI Collection)

ステーシー

ステーシー