37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

2007-05-23から1日間の記事一覧

その1

歌人の佐藤弓生さんから歌集をいただきました。まごまごしているうちに買いそびれてしまっていたところを送っていただき、大恐縮ながらも嬉しくてもう大感激。もう手に入らないと思っていたので、嬉しくてたまりません! ほんとうにありがとうございます。内…

佐藤弓生『眼鏡屋は夕ぐれのため』(角川書店、2007) 

かんたんなものでありたい 朽ちるとき首がかたんとはずれるようなこれもまた天使 くまなくひらかれてこころをもたぬ牛乳パック吸いとってあげる朝日も はじまりがいつでもこわいあなたであればどんなにかさびしい白い指先で置きたまいしか地球に富士を袖口で…

その3

目も手も耳も足も、この四肢、身体【からだ】、まだうごく、まだちゃんと使える。すべてを使い果たすまでここを去ることは禁じられていると声がする。どうかその声が幻想でありませんように。その声が自分の声ではありませんように。何処かちがうところから…

その4

ひとはかわる可能性をいつもその内に孕んでいる。生きている限りにおいては。永遠を切望しているわけではないのに、憧れる気持ちがいつまでも止まないのはどうして。

その5

「未来派の文学も表現派の文学もあるそうだ。私はまぼろし派の文学を作ってみたい。まぼろし派、まぼろし。私は消えてなくなるようなまぼろし派の文学を作ってみたい。(清水澄子『ささやき』勉誠出版、2002)

その6

――速度が問題なのだ。人生の絶対量ははじめから決まっているという気がする。細く長くか、太く短くか、いずれにしても使い切ってしまえば死ぬよりほかにない。どのくらいのはやさで生きるか?――この世に安心できる場所など、どこにもないのだ。自分にはおそ…

その7

「機械?」「わたしは/造り物/なんです」「壊れてるの……」「ええ」「それで/動けない/のか?」「いえ/それはほとんど/関係ありません/見せかけだけで/用を為して/ませんから」「わたしの体」「そんなのばかり/なんです」「人間のまがい物」「天使のまがい物…

その8

いったいいつまでわたしは遅刻していればいいの?もう追いつけないなにかに。すこし動悸があがってきたけれど、でもまだ目的地は遠い。今の苦しさより、目的地が見えないことのほうが堪えている。確実に遅刻しているという事実が焦りをつのらせる。それに較…

その9

ここのところ、なぜかほとんどねむれていません。身体が疲れているので横たわっていても、意識だけが冴え冴えとしています。恐ろしいほどに。ああ、もう強制終了してください。意識を切ってしまってください。まばたきするよなあいだだけでもいいのですから。

その10

言葉だけで不十分ならば身体(からだ)も……全てを駆使してなにかを伝えようと必死に試みる。身体は言葉の不自由さを補完するためにこそ在る。