37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

白色雑音

夢を見る力さえない日は、テレビのホワイトノイズを小さくつけて眠る。

ホワイトノイズは、すべての周波数をふくんでいるがゆえに、白と名づけられた波長。色の世界だって、あらゆる色の波長を含んだ色を、わたしたちの視覚は白と認識する。

すべてがふくまれているゆえに、わたしたちは「それ」を、「そのなにか」をなにものかとして特定できない、定義できない。

でも、それってなんだか素敵だ。「それ」がわかってしまった瞬間、世界は限定されてしまうから。まだ知らない世界があることの幸福。

ホワイトノイズだってすべてを含んでいるが故に脳が認識できない音だという。その不思議な音を聞きながら、ちらちら明滅するスクリーンの彼方に、見えぬ世界の気配を確かに感じつつ今晩は目を閉じます。

夢見る力の回復を信じて。おやすみなさい。