言葉
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祈りながら、この世界が美しくないということも忘れない。憎悪の感情を、憎むということを。冷たい光に貫かれてしまいたくなる夜もあることを。
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掬いがたい心の淡いをどうにかこうにか言葉に押し込めると、ちがう風景が見えることがある。混沌とした闇に、光が、輪郭が、物語が与えられて。
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だから、今も言葉を手繰っては、紡いだりしている。誰かに声が届く可能性を孕む唯一の方法として、選択してきたもの。最後まで決して放棄したりはしない/できない手段として。あらゆる言葉は祈りであり、願いであり、叫びであり、囁きであり、手紙であり……。
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永遠が存在しないのなら、一瞬を永続させればいいのよって。誰かの声が響く深夜。
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世界がいつ終わるのか、精確に知ることはできない。そこに美しさが集約されていく気がしてならない夜です。