37.2℃の微熱

読書と映画の備忘録

2009-01-01から1年間の記事一覧

はなびとえいえん

夏の夜空に一瞬、咲き誇っては消えさりゆく巨大な虚空の花々。土曜日の夜に花火を見ながらぼんやり考えていたのは、昨日おすすめされて買ってしまったボルヘス『続審問』(岩波文庫)の永遠についての箇所でした。 ――永遠とはすべての瞬間の鮮明な所有である…

休まない翼

どんな遠くても 迷わない強さ 私もいつかは 胸に抱きしめたい どんな遠くても 風の着く場所へ ただ旅すること 全てはその中に (中略 )私にもいつか 旅を終える日まで 誰にも知られず 消えてゆく強さ ただ旅すること 全てはその中に ――ZABADAK「休まない翼」

拘束してもらえたら安心するだろうか 充たしてもらえたら満足できるだろうかでも きっと この次は もっと強い拘束を もっと過剰に充たされることを のぞんでしまうにちがいなくて みたしてもらったらもらった分だけ ひろがりつづける空虚 悪しき円環だれかも…

さみしくてさみしくてさみしくて たまらなくてどうしようもない 夜があって、 だれかにいてほしいとか、 なにをしたいとか、 どこかにいきたいとか、 確固とした充たされない欲求があるわけでもなく (自覚できていないだけなのかもしれないけれど、あればそ…

村上龍『エクスタシー』

最高のおやすみなさい、のひとつ。 カタオカケイコ、という女性の。 これでぐっすり眠れるわね、 もう、ホテルでも飛行機でも不安に怯えることなく、寝たままで過ごせるわね、 でも、こうやってわたくしの声を聞いているのだから、 一回だけは起きたのね、 …

プラテーロ

ねぇ、プラテーロ、という呼びかけがとてもやさしくて切なくて大好きな、ヒメネスの『プラテーロとぼく』を読んだのは、小学生のときで、子供向けの岩波文庫かなにかにはいっていて、母が買ってきた本で、でも読みながらすっかり夢中になって。添えられてい…

七月がやってきた。蝉の声はまだ遠いけれど。

嘘吐きは嫌い。大っ嫌い。

恒川光太郎「風の古道」より

これは成長の物語ではない。 何も終わりはしないし、変化も、克服もしない。 道は交差し、分岐し続ける。一つを選べば他の風景を見ることは叶わない。 私は永遠の迷子のごとく独り歩いている。 私だけではない。誰もが際限のない迷路のただなかにいるのだ。 …

六月はとりとめもなく

波乱万丈続きで、気がつくと物思いに耽りがち(それより、お仕事お仕事!)昔、夜明け前の海の静けさを聴いた記憶がある。無音という音。あるいは永遠にリピートし続ける4'33"。なんだか落ち着かなくて、そんな静けさが恋しい夜更け。でも、極地などの音のな…

もうお目にかかりません

明日もまた、同じ日が来るのだろう。幸福は一生、来ないのだ。それは、わかっている。けれども、きっと来る、あすは来る、と信じて寝るのがいいのでしょう。わざと、どさんと大きい音たてて蒲団にたおれる。ああ、いい気持だ。蒲団が冷いので、背中がほどよ…

La vice anglais

毎日毎日、鞭打ち小説と一角獣のでてくる物語を読んでいます。ああ、うっとり、恍惚。鞭打たれたい気分はあいかわらず。でも忙しさは極まっていて、今は活字に鞭打たれています(多分)。連日打ち合わせしていたり、デザインを頂きに山猫亭に赴いて、夜8時と…

不眠

お薬のんだのに眠れない今夜は、夢見るかわりに文章を書き散らす。必死で消え去るなにかをつなぎとめたくて。

決別

迷いとの決別、そして、すべてとの。

メール その2

1日の日記に関して、ほかの人からもメールをいただいていた。一日一行でいいから一番すばらしかったことをかいてみたらというお勧めでした。

メール

「ブログを注意深く読み返してみると、生きたいという願望と、どうしようもない絶望と、絶対的な真理に対する信奉が同時に感じ取れます。ところが最近は以前にもまして強烈なタナトスのようなものが感じられます。確実に死に迫るものが大きくなっているので…

・どこかで記号となることを喜んでいる自分がいる。ゼロに回帰すること。・異形とはなんだろうということをずっと考えている。

もういちど、そしてこれが最期

わたしは原点に還ります。還ることにします。それはこわくない。こわくないの。還るわ。もうなにもいらない。欲しくない。一番大事なものさえあればいいの。それさえわかっていればいいの。折りよく今日から新しい月。ほとんどねむれなかったけれど、すこう…

たとえば

◆言葉が枯渇する前に、わたしはなにかを書きとめておきたいのだ。この世界と齟齬をきたし、なにもわからなくなるときがきたとしても。もしかしたらわたしでないだれかが、わたしのかんじたことの痕跡をかすかにでもかんじてくれることがあるかもしれない。あ…

ZABADAK

私を引き寄せるかすかな想い 小さなつぶやき それは眠りの外で響いていた ただひとつの詩 (略) 痛いくらい透き通る胸の奥 舞い降りて行ける 降り積もる言葉に隠されていた 心の平野へ (Psi-trailing) ◆ひさびさに、ZABADAKを聞く。心がちょっと落ち着く…

ミサトさんぢゃないよ

メールでわかってしまう。やっぱりミサトさん役をわりふられている。 わたしはミサトさんぢゃないよ。偉大な母、マグナ・マーテルになっちゃう綾波は、やっぱりこわい(それ以前は好き)。それともあそこまで圧倒的だと、とりこまれて反対に安心してしまうも…

ウルトラQ『鳥を見た』

鳥を見た、を見た。土曜日の夜。漁師村の浜辺でたった一人、海とともに生きている孤独な少年と、まよいこんできた小さな白い鳥との交流。鳥はクロウと名づけられる。全体的にセリフもあまりやかましくなく、音楽と映像が淡々と流れていく。それでも、波にさ…

或る春の日に

あおいさん、 不意に名前をよばれてびくっとする。ほとんど名前を呼ばないひとだから。 人間はね、ほんとうはね、なにをしても自由なんだよ。 人間は自由だ。 そのひとはそういいながら、お皿のボンゴレスパゲティをくるくるフォークにからめとった。うつむ…

今日

◆今朝、しばらく連絡のなかったひとからメールがきていた。◆昨日は雨だったけれど、今日は綺麗に晴れた。そこがどこかを知っているわたしは今年もひっそりと足をはこぶ。独りで。独りがいい。静かに。地上を離れて高みに近づく、そこ。そこから見える風景を…

狂気

常に狂気と同居すること。そうでありながら、冷静であること。怜悧であること、冷徹であること、なによりも自分自身に対して。

さっきまで見ていた悪夢

身体中に画鋲がつきささっているという夢をみました。あたまがまるくて金色の、学校でよく使っていたようなのが。とてもとても痛いのですが、目も口も画鋲で閉ざされているので、涙を流すことも、声をあげることもできなくて。全身の苦痛よりも、泣いたり叫…

いまは

いまはなによりも苦痛をもとめます。魂が眠り込んでしまわないように。

いままで

いままで一度も朝がこなかったことはないのに、いつも夜になると、この時間が永遠に続くような気がする。恐怖が消えないのは、朝が来ることを望んでいるわけではないから。

夜の永さ

どんなにお話をしてもらっても、ぐるぐると縛ってもらっても、首を絞めてもらっても、完全には消え去ることのない恐怖。精製された硝子に閉じ込められた気泡のように、永遠にそこに眠り続ける不安。だから、わたしの恋人、もっと、もっと、もっと、お願い。…

つらかったら

つらかったら、くるしかったら、ねむれなかったら、さびしかったら、かなしかったら、うれしかったら、たのしかったら、幸福だったら、こわかったら、ふあんだったら、どうしようもなかったら、 書きなさい、といわれるので、書きます。書くことにします。そ…